今を楽しむ力

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 欧米のバックパッカーは、荷物がやけに多い。それが最長8か月旅をして感じたこと。そしてその荷物の中身がまた、私にすると興味深かった。欧米人の多くは、大柄な体にもかかわらず、体からはみ出しそうなバックパックを背負って旅している印象が強い。(あくまで主観)

 その中身の正体は、「多くの書籍」欧米の主流は、厚めの紙が素材の本。一冊ずつのかさが高い。そんなことはお構いなしで、好きな本をバックパックいっぱいに詰め込んでいた。当時の私には理解しがたいこと。バックパッカーは、毎日自分の荷物を背負って旅をする。つまり、荷物が少ないほど単純に自分が楽なのだ。毎日最小限の荷物を目指して、バックパックに荷物と入れ替えを繰り返し(これでは軽くならない)、不必要なものを探していた(レシートさえノートに金額を書き込んでは捨てていた)私とは正反対。

 「好きな音楽と本、ビールがあれば最高さ。」そんな雰囲気が多くの欧米人から漂っていた。羨ましい。大人っぽい雰囲気。好きなものを詰め込んで旅する余裕。密かに毎日劣等感?みたいない憧れを感じていた。さらに追い打ちをかけたのが、多くの欧米人バックパッカーが、友だちやカップルで旅をしていたこと。その姿は、まさに人生を楽しんでいた。話を聞くと、一緒に旅をスタートさせた人は少なく。旅の途中で出会って意気投合して旅をしている。国籍もばらばらで、島国で育って、言語力もコミュニケーション力も低い私には、たどり着けない境地。バックパッカー≒一人旅。一人旅に意味がある。一人旅はかっこいい。そんな中学生思考(私の場合)で旅をしていたものだから、勝手にそんなものだと思っていた。

 分厚い本と旅のパートナー。どちらにも共通していることが、「今を楽しむ」ということ。正直、いろいろな国を旅して歩いたが、私の頭の中は、今を楽しむこと以上に明日の予定。財布の中身。そんなことばかり考えていた気がする。それでも、そうやって現地の国だけではなく、出会った旅人たちの価値観は、今の自分に大きな影響を与えてくれたと感じている。あれからの15年。私は日本で、家族や職場、周りの人たちに、もらった新しい価値観を伝えられているだろうか。今一度、今を楽しもう。そんな姿をまず、子どもたちに見せていきたい。

 これは15年ぐらい前の話だ。今は紙の本がデジタルブックに変わっているのかもしれない。それでも心のどこかで、今でもあの分厚い本を担いでいてほしいと思う。あの日の自分が憧れたから。

 でもちょっと待てよ…そんなことを言ったら、こう言われそうだ。「紙の本でもデジタルブックでもどちらでもいい。今を楽しもう。」そうですね。まだまだシンプルに人生を楽しむ修行が足りない。一生追い求めよう。まずは自分から。

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